もう一つ気になるマスコミの視点

 気になるのはマスコミの感情論だ。「経済優先の招いた事故」などとレッテルを付けJRを非難するのはよいが、では以前の国鉄が良かったとでもいうのか。そこかしこに技術的な理論の破綻や、現実無視の報道が目立つ。
 新しいところでいえば、今日の朝日新聞1面(13版が手元にある)。曰く
「脱線現場のカーブは8年前まで、現在の半径300mのカーブではなく緩やかな半径600mのカーブだった。97年に東西線が開業し乗り入れすることになったことに伴い、線形を変更。大きく西方向に曲がる原ルートに代わった。直線区間の時代もあった。JR側はカーブが急になったこれらの経緯を十分認識しながら、旧型装置の機能を十分に利用していなかったことになる。」(ほぼ全文引用)
 さて、以前の直線は、山陽本線と直行するもので尼崎駅で接続がされていない。「緩やかなカーブ」は明らかに平面交差をしており、かつ事故現場のカーブは小さいが、その先の尼崎駅前のカーブは現在のものより遙かに半径が小さい。
 現在の路線は、明らかに安全対策のために立体交差をするために作られたものだ。またその後のカーブを考えると、今回の300R(半径300mのカーブ)はカーレースのシケイン(減速路)の役割を果たしている、とも考えられる。朝日新聞は、平面交差で毎時数十本を超える車両が行き交った方が安全だ、とでもいうのだろうか。
 誤った情報で国民をもてあそぶのは、いい加減にしてほしいものだ。もっともこの朝日の姿勢も今に始まったことではない。戦時中の大本営発表も、読み比べてみると朝日が最も派手な表現のように感じている。(極端な差が各紙にあるわけではないので、あくまで感覚でしかないが)