1日遅れはご愛敬ということで。

裁判の内容についてはだいたい言い尽くされているだろう。松下電器産業ジャストシステムを、ヘルプアイコンの特許権で訴え勝訴。
不可思議なのは、「特許権で利益を上げる」としている松下が、今回の訴訟では補償金やライセンス料ではなく、一太郎の販売中止を求めていること。今回は控訴によって一太郎2005の販売は継続できることになったが、既にジャストシステムの株価は大きく下降しており、小売店からのオーダーも大きく減少することが予想される。メイン商品であるだけに、ジャストシステムの経営にとって大きな打撃になる可能性がある。
しかし、ジャストシステムが経営不振に陥って松下に何の「利益」も無いよう思える。松下はハードとしてのワープロの特許であり、ワープロソフトの販売も事実上していない。一説にはジャストシステムにはソニーが投資しており、ソニーに打撃を与え新世代DVD他の戦略に一打を与える、というもの。しかし、ジャストシステムDVDでは話が遠すぎるし、金額もソニーの投資全体から考えれば、あまりにわずか。
となると、「一太郎の販売中止」という勝訴によって誰が利益を受けるのか、ということ。一太郎は日本国内のみの販売(だよね?)と思われ、国内のワープロは圧倒的なシェアでWord。次に学校や役所を中心に一太郎、という図式だろう(個人的には最近はOpenOffice.orgを使っている・・・これについてはまた改めて)。それ以下の順位のワープロソフトはジャストシステムが無くなってもさほど恩恵を受けるとは思えない。

かくして、唯一の可能性はマイクロソフトということになる。
もちろんこれにはSCO訴訟同様、証拠はない。しかし、天下の松下が、特許によって自社の利益を求めず無関係の第三者(社?)を潰す、というのはあまりに合点がいかないのだ。

さらにいえば、各新聞やテレビの論調も不思議である。「特許違反の判決が出た」「ジャストシステムの経営にも影響を及ぼす可能性がある」等々の報道はある。ごく一部にサブマリン特許的なソフトウェア裁判に疑問を投げかける新聞社もあった。
が、訴訟とそれによって受ける利益について疑問を投げかけるマスコミがないのはなぜなのか。[[マイクロソフト]のマスコミ対策は、以前から徹底している(WindowsNT発売前の大騒ぎ、等々)。

くりかえす。確かに何の物証もない。それだけに不思議なのだ。
松下よ、本当に利益を上げたいのであれば、一太郎の販売を認め応援し、ライセンス料をしっかり取りたまえ!